西日が射し、居間の空気はどんより澱んでいた。 巣鴨にあるこの家の留守をたのまれて、そろそろ約束の一週間がたつ。猫兄貴は夜だけここに泊まりにくる日がつづいていた。 家人の帰宅にそなえて部屋をきれいにしようにも、操作を教わった掃除機がどこを探し…
2011年6月30日 けさ、ちょうど午前5時、カラスが起こしにくる。目覚ましは毎日携帯電話を利用し、バイブ(モード)で充電器にセットしている。タイマーは午前5時3分。きょうのカラスの鳴き声であるが、ドイツ語のRをしぼり出すような声で、一定の間隔で寝…
4月11日、石牟礼道子氏インタビュー「近代という病いをみつめて─『苦海浄土』の「世界文学全集」(河出書房新社)収録を機に─」(『週間読書人』2011年2月25日)読。ちょうど一年前(4月2x日〜2x日)、ある財団の企画による水俣をフィールドとする地元学の現…
4月14日(木)、国公立所蔵史料刊行会編纂『安政大地震鯰繪』*1(誠文図書、昭和54年6月30日)を入手。画像を個人PCに取込んだ後、翌15日、「解題」読了。鯰絵の解釈のなかに他の書*2の解説と若干ニュアンスの違うものがあり、確認。実際の詞書に対して本書…
2月16日(火)、T大学のG先生よりご講義を受ける。講義はヴェーダ学における「業と輪廻」に関するものであったが、その講義の余韻は「旅」に似ていた。いい講義とはそのようなものなのだろう。遠近法的にはにしか感じないようになっていたヴェーダ学への思考…
昨年1月から3月にかけてNHKスペシャルで放映された『MEGAQUAKE 巨大地震』(全4回 http://www.nhk.or.jp/megaquake/ )のDVD-BOXを入手した。震災直後、一時的に在庫切れとなっていた。本日、全巻視聴。感想はいつか書くかもしれない。ところで、今年1月13日…
20011年3月15日、気谷誠著『鯰絵新考─災害のコスモロジー─』(ふるさと文庫、筑波書林、1984.11.15)読了。仮名垣魯文による「志ばらくのそと寝」という鯰絵は、市川団十郎(鹿島大明神の立ち位置)が鯰坊主を「要石」で取押さえるという構図である。歌舞伎…
先月(2010年11月)購入のDVDについて思い出すものを以下に列挙;パリ、テキサス デジタルニューマスター版 [DVD]出版社/メーカー: 東北新社発売日: 2006/08/25メディア: DVD購入: 11人 クリック: 112回この商品を含むブログ (83件) を見るヴィム・ヴェンダ…
どしゃぶりの雨のなか、世田谷区の豪徳寺にある古書店で取り置きしてもらっていた『TOTO通信』のバックナンバー(49巻1号〜52巻4号 16冊)を取りに行く。世田谷線の山下で下車。2006年新春号に「立原道造の『ヒヤシンスハウス』」が特集されており、それを入…
立原道造記念館の休館は、2010年7月14日11時7分の朝日新聞の記事で知る。 詩人・立原道造の記念館休館へ 経営悪化のため 早世の詩人で建築家の立原道造(1914〜39)の詩集特装本などを収蔵する立原道造記念館(東京都文京区)が、経営悪化を理由に休館…
「〈座談会〉来るべき精神分析のために」は、さまざまなヒントに満ち、線を引きながら面白く読了する。下線の部分を最後まで写しきれないが、以下は、読書中の確認をこめたその作業(アイデア部分は記さず)。 I 歴史篇 〈現状の概観〉 (立木)……ここ二、三…
昨日(5月30日)は挙式記念日にして誕生日(入籍は妻の誕生日で、こちらが結婚記念日)。午前中のうちに家を出、新丸ビル7階の喫茶‘HENRY GOOD SEVEN’にて3時近くまで「〈座談会〉来るべき精神分析のために」(十川幸司・原和之・立木康介、『思想』2010年第…
Sakiko Yamaoka Performance Art "Garden" full edition 03 山岡佐紀子 http://www.youtube.com/watch?v=fvK_c2WAh0U You Tubeで上記のパフォーマンスをみる。 黒のテープルクロスのかかった机の上に黄色のワンピースを着て立ち、身体をゆすりながらひたすら…
「はじめに」および「第1章 プラトンと尊厳死──プラトン『パイドン』」を読み終えたところ。 小泉氏は、「はじめに」で、 (省略)要するに、本書で、私は、生と死の二者択一に抗して、生と死の二分法を越えるような存在の仕方を断固として肯定したいのであ…
「シルシルミシル」(テレビ朝日、2009/10/07(水)放送)をみる。 「ミルクチョコレート」の紹介内容1926年発売開始のお菓子。今年、6代目のパッケージにリニューアル。 このミルクチョコレートの製造工程が取材されていた。 工場ではガーナ産のカカオ豆を1日…
佐藤密雄著『原始佛教教團の研究』(山喜房佛書林、[昭和38年3月]平成5年5月)。 『中村元選集[決定版]第10巻 思想の自由とジャイナ教』(春秋社、1991年3月)。2著ともすでに読み終える。メモ;「当時資産家はアイラカ(ayiraka)とよばれていた。」 『…
9月某日午後2時に妻の妹家族と千駄木で待ち合わせ。待ち合わせ場所に指定したドトールコーヒーは〈サンマルクカフェ〉となっていた。昔、向かいの〈千駄木倶楽部〉や在りし〈千駄木ドトール〉は、よく利用したものである。生活のリズムを整えるために、朝の…
見田宗介著『現代社会の理論──情報化・消費化社会の現在と未来』(岩波新書 1996年10月); ブータンで提唱されたGNH(国民総幸福量)の概念と水俣の地元学との「あいだ」に通底しているような問題の所在を急遽、把握する必要があったのだが、この文脈のなか…
自身の専門の学閥や人脈の影響力といったものは、大学入学当初、そういうことの好きな先輩から教えられたものである。福田和也の『作家の値打ち』ほどには、採点表に意味があるとは思えないが、概して面白かった。いまは、深くならべて考察しないが、戸坂潤…
第16回の東京国際ブックフェア(2009年7月9日〜12日)の中央公論のブースで、旧版の中公新書が200円ほどで販売していた。てっきり絶版なのかと思い、何冊か求めたものの内の一。ずいぶん前に、線を引き引き読了し、これが刺激となって、先の『憑きもの持ち迷…
引越しをしてまだ1年経たないが、駅までの距離はあるし、通勤電車に揺られている時間も長い。そこで戯れに妻とフランス語の動詞の活用(conjugaison)などをやりながら、歩いている。第二外国語で履修したわけでもなく、もともと趣味でやった程度。もう、す…
速水保孝著・柳田國男序文『憑きもの持ち迷信──その歴史的考察』(柏林書房 1957年4月5日); 本書について感想をもらす、というよりは、ブログなるものの試し書き。表紙と奥付の表記が異なるのだが、奥付には、『憑きもの持ち迷信の歴史的考察──狐持ちの家…